空の境界(からのきょうかい)上・下巻 奈須きのこ著
伝説的な大ヒットを飛ばした同人ゲーム、「月姫」のシナリオライター、奈須きのこ氏の小説。と言っても内容は月姫とリンクしている部分も多く、完全な新作というより月姫の原作という感じ。エンターテイメントな部分はゲームという事もあって月姫の方が強いが、小説版の方が奈須氏の味は出ていると思う。
メインの登場人物は主人公の両儀式と友人(恋人?)の黒桐幹也、幹也の雇い主で魔術師の蒼崎橙子、幹也の妹で後に橙子の弟子になる黒桐鮮花。式の宿敵の荒耶宗蓮の五人。この物語の主人公、両儀式は生物、無生物を問わずあらゆる物の死を視る事が出来る「直死の魔眼」を持っている。彼女とその友人達が超能力者や魔術師等、様々な異能力者と関わり、怪事件に巻き込まれていく。
アクションが主体の話というより魔術や怪現象、式の「魔眼」等が魅力的な雰囲気を作り出している。伝奇物ともミステリーとも違う一種独特のこの雰囲気は、私にとって創作意欲を刺激するとても心地よいBGMだった。新人という事もあってまだ洗練されていない部分は多いが先が楽しみな作家だと思う。
http://www.typemoon.com/kara/kara.html
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