川崎タタラ街

とあるヴィークルパーツ屋にて

Handle : “抜け道屋”燕 ユウジ   Date : 2003/02/13(Thu) 13:44
Style : カゼ◎ レッガー ニューロ●   Aj/Jender : 18/♂
Post : フリーランス/抜け道屋


「よっ!アニキ。また来たよ〜!今大丈夫ー?」
 店先に“ドリーム号”を停車させ、ユウジは店に入るなり、その店員の肩をたたいた。(いらっしゃいませ)自動ドアに連動した店内アナウンスが、遅れて響く。廃ヴィークルとおぼしき鉄塊と格闘していた店員は、びっくりして振り向いた。
「いきなり話しかかけんなよバカ。アブねーだろーが」
 レーザートーチといかつい工具を軽く振り上げて抗議する。
「あはは、ごめーん。今アニキひとり?店長は?」
「部品採り。ジャンクパーツが出るんだとさー」
 ユウジは無造作に積まれたタイヤの山に腰を下ろした。バックパックから缶ジュースを取り出し、店員に投げ渡す。
「で。今日は何だよ。つーか、お前また学校ふけてきただろ」
「今は昼休み。俺だってそうそうエクソダスしてる訳でもないって。ちゃーんと考えて逃げてんのさ」
もうひとつ、自分の分も取り出して開封する。中から炭酸飲料が溢れ出した。
「うあ、やっべ。…今日は遊びに来ただけ」
「俺のも溢れそうだな。投げて渡すし…。まぁいいや。ゆっくりしてけよ」
 こともなげに言うと、店員は再び鉄塊に向き直った。

http://www.dice-jp.com/ys-8bit/b-2unit/data.cgi?code=CA105 [ No.1 ]


【川崎タタラ街:とある工房前】

Handle : “ブラッディ・S”サティ・サティ   Date : 2003/03/19(Wed) 23:04
Style : カタナ カタナ カタナ◎●   Aj/Jender : 32/♀
Post : なし


すっかり日も暮れてしまったが、個人経営の工房が立ち並ぶこの界隈ではまだ大半が忙しく働いていた。あちらこちらから騒がしく機械音が響き、通りには小型トラックや作業着姿の人々が行き交っている。
だが目当てにしていたその工房には人影もなく、シャッターを下ろしたまま佇んでいる。
風にガタガタと揺れるシャッターには、一枚の貼り紙があった。
『この建築物はLU$T民事執行法3-19-2Bに基づく競売物件となっており……』
そういえば、ここの所有者だった男が新しい『ビジネス』に手を出しているという噂を聞いたのは、確か先週のことだった。

そういうことか。
彼にはもう永久に会えないのだとサティは悟った。
欲張り過ぎたのか、ハメられたのか、運が悪かったのか……ともかく破滅した奴の為にしてやれることは、もう何もない。
「馬鹿な奴だ。腕は良かったのにな」
よくある話だから、別に感慨はない。ただ勿体無いとは思う。
どうせ急ぐ話でもなし、また明日どこか代わりを探せばいいだけの話だ。サティは長居は無用とばかりに、足早にそこを立ち去った。

 [ No.2 ]


学生寮“安里屋”

Handle : “抜け道屋”燕 ユウジ   Date : 2003/03/26(Wed) 19:02
Style : カゼ◎ レッガー ニューロ●   Aj/Jender : 18/♂
Post : フリーランス/抜け道屋


「サンキューな、ユウジ。お陰で助かったよ〜…」
 午前中から続けていた引越し作業を終え、少年はようやく運び込まれたベッドに身体を投げだした。新品の掛け布団の匂いが心地よい。その真新しいベッドが、少年の体重を受け止め、軽く軋んだ。
「別にいいさ、今日はヒマしてたからな…」
 事も無げに話を返すと、ユウジもそのベッドに腰を下ろした。そして、軽く深呼吸する。
「くっくっ…やせ我慢すんなよ。…ほらよ」
 少年は苦笑しながら、首から掛けていたタオルを投げてよこした。
「思ったより荷物多かったからなー。ホント、お前がいて助かったよ」
「ちっ。そう思うんならちょっとは減らせよなぁ、まったく…。ジュース貰うぜ」
 皮肉たっぷりに言い返してみる。タオルで額の汗をぬぐい、ユウジは備え付けのクーラーボックスからジンジャーエールの缶を取り出した。

 この春から横浜工科大に通うことになった友人のために、ユウジは朝から引越し作業を手伝っていた。思いのほか持込の荷物(そのほとんどは趣味の品なのだが)が多くなってしまい、レンタルで軽トラックをチャーターして自宅〜寮を往復する始末…。
無表情で平静を装ってはみたが、さすがに疲れた。

「なぁユウジ。お前は大学行かないんだってな」
 ベランダの柵に寄りかかって、少年は缶ビールをあおっている。
「…まぁね。俺には勉強なんて合わないっしょ。どっか働き口を探すさ」
 新品のベッドに転がって、ユウジは事も無げに呟いてみせる。窓から入る夜風が、軽く身体をなでてゆく。2人は無言のまま、互いの顔を見るでもなく、ポツリポツリと会話を続けていた。
「俺はもったいないと思うけどな…。バックれてばっかりだったけど、成績は悪くなかっただろ?」
「別に…。勉強が好きじゃないだけさ。授業だから受けてただけだよ」
「まぁいいけどな。進路決めんのはお前自身なんだし。……でもこれでお前とバカやんのもお終いかぁ…」
「………別に。どっか行く訳じゃないし。ま、ヒマになったら遊びに行くよ…」
 ベッドから跳ね起きると、ユウジは少年の肩に手をまわした。

 [ No.3 ]


タタラ街の片隅で

Handle : ”手品師”各務 京矢   Date : 2003/05/10(Sat) 21:47
Style : カブキ◎ バサラ マヤカシ●   Aj/Jender : 25/♂
Post : 流浪の手品師


「おっかしいなぁ、先生の地図だとこのあたりなんだけど・・・」

そろそろ夕暮れが辺りを染めようとする頃、各務京矢は途方に暮れた様で立ち尽くしていた。
より手に馴染む奇術用具を仕入れるために手品の師匠の昔馴染みという男を訪ねようとしたのだが。

「ココどこ〜〜〜!!(泣)」
・・・・・・・・・・それどころでは無いようだった

彼が『迷子』という称号から抜け出す日はまだ遠い

 [ No.4 ]


おてんば姫君

Handle : 翠梁   Date : 2003/06/26(Thu) 21:12
Style : カリスマ◎● フェイト アラシ   Aj/Jender : 18/♀
Post : 芸能人


「あれぇ〜・・・ここどこにゃぁ;;」
芸能界の辛さから耐え切れずに翠梁は夜に脱走してここに迷い込んだ。
「にゃぁ・・・抜け出さなければよかったかもぉ・・・うるうる」
ふわふわの銀に光る長い髪を風になびかせながら1人たたら街を歩いていた・・・

 [ No.5 ]


路上にて

Handle : “Sugary Dog”皆見 悠樹   Date : 2003/06/26(Thu) 22:15
Style : イヌ◎ チャクラ ミストレス●   Aj/Jender : 24/♂
Post : ブラックハウンド機動捜査課巡査


 ブラックハウンドの仕事と言っても、いつも凶悪犯と戦っている訳ではない。
 今のようにパトロールもその仕事の一環だ。
「‥‥‥‥」
 凶悪犯がうろついている可能性もある。
 ブラックハウンドの制服が歩き回っているだけでも犯罪の抑止力になるし、目の前で犯罪が起きれば迅速な対処も可能だ。
 バウンティハンターの名前が強いとは言え、悪名名高いブラックハンドの制服と、角材のような六尺根を前に喧嘩を売れるものは早々いないし、もしもいたとしてもおそらく、長生きは出来ない。
 もっとも、仕事はそれだけではない。

 例えば目の前を所在なさげにうろつく人影はおそらく、『迷子』と言うものだろう。たぶん。違った場合を考えると、自信がない。
 声をかけるべきか否か、悠樹はため息混じりに眉間を曇らせた。

 [ No.6 ]


本職は事件レポーター

Handle : ”Judgement D”三笠 雅已   Date : 2003/06/28(Sat) 23:44
Style : トーキー◎ カリスマ● カブトワリ   Aj/Jender : 26/♂
Post : マリオネット/フリー


 好奇の目はどこにでも潜んでいる。
 たとえばの話をしよう。どこかの企業のエグゼグによるプライベートな日常はそれなりの金で売れるし、闇組織に所属するものの映像は敵対組織に喜ばれる。ただ、賭けるチップが大きくなりすぎるが。
 もっとも安全なのは「人前にさらけ出すこと」を生業としているものの顔。取材費を出して突撃するもいい。お金が惜しければこそこそと取るのも良い。まぁ、犯罪にならなければ。
 なぜ、こんなことを言ってるかというと。

「ラッキー」

 暇をもてあましたら街を彷徨いてみるものだ。
 何か、飯の種が歩き回ってることもある。
 小さくつぶやき、カメラを構える。
 もちろん、望遠レンズ。カゲではない自分には遠くから気づかれないように撮影する以外、方法はない。
 気づかれたらそのときはそのとき。

 まさか、こんなところで。
 芸能界のお姫様に巡り会えるとは思えなかった。
 小さく、
「ひゅーぅ」
 と口笛を吹き、ゆっくりと歩き出した。

 [ No.7 ]


鷹の狩り(Re:おてんば姫君)

Handle : “S.S.G”菅生・クリフォス・鷹明   Date : 2003/06/29(Sun) 21:55
Style : カブキ◎ カタナ● レッガー   Aj/Jender : 18/♂
Post : B・H・K


ふらふらと通りを歩く翠梁に声をかける者がいた。
「こんなコンクリートフォレストを一人歩きするのはいけねぇな・・・」
翠梁と同じ銀色の長い髪。黒いレザーのコートに、片手にはギターケースをぶら下げている。
「森の中ではどんなモンスタァが襲ってくるかわかりゃしねぇー。おにいちゃんといっしょにくるといい」
語尾を伸ばし気味に、のんびりした口調で話しかける。

(マネージャさんが探してくれといっていたのはこの娘だよな・・・)
駆け出しのロッカーにとって一番大事なのは売り込み先である。
アイドルが「お出かけ」したので、トーキーたちにバラされる前に連れ戻したいという話だった。あとでコネになるかもしれないと。

(でも朝までは遊んでてもいいんじゃないの?芸の肥やしだろ)
だが鷹明自身には、生き馬の目を抜くカブキ界に耐えかねて家出する翠梁を理解できる、同情の気持ちも抱いていた・

 [ No.8 ]


事件の臭い?

Handle : ”Judgement D”三笠 雅已   Date : 2003/07/01(Tue) 00:26
Style : トーキー◎ カリスマ● カブトワリ   Aj/Jender : 26/♂
Post : マリオネット/フリー


「あれ?」

 望遠レンズの先の景色が変わる。
 お姫様につきまとう“何か”。

 関係者ならまだマシだ。
 例えば彼女を連れ戻しに来た局の人間。
 また、例えば付き人とか。

 だが、ここはおとなしいだけの街じゃない。

「可能性はなきにしもあらず、か」

 懐を探り、得物――BOMBピストルをいつでも出せる状態にしておく。
 荒事は‥‥昔取った杵柄程度だ。久々のそれが大丈夫かどうか。
 だが、フィルムに残ってしまった少女が次の日にただの物品になることを想像すると‥‥それを見過ごすのは後味が悪かった。
 

 [ No.9 ]


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