2.君子と孔丘

1章で見たように、キミコさんはどうやら複雑な経歴の持ち主らしいです。
ではこの章では、キミコさんについて孔子が直接語っている部分をピックアップしてみましょう。
そこには、驚くべき事実が数多く含まれているのです。

子曰く、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。(子路)

意味:先生は言った。「キミコさんはハモるのは得意だがユニゾンは下手。こびとさんは、その逆である」
解説:先生とは、言わずと知れた孔子先生。
キミコさんは歌に関しては特殊な才能の持ち主だったようです。普通はこびとさんのように、ハモるよりユニゾンの方が楽なはずですが……。ここにキミコさんの異能ぶりが伺えます。それより問題なのは、孔子先生が、こびとさんに関してよく知っていることです。謎です。

さらに、キミコさんとこびとさんを対比した言葉が並びます。

子曰く、君子は泰くして驕らず、小人は驕りて泰からず。(子路)

意味:先生は言った。「キミコさんは堂々としているけど飯をおごってくれない。こびとさんはその逆である」
解説:キミコさんは偉そうな割にケチですね。私は個人的にはこびとさんのような人がいいです。

子曰く、君子は徳を懐い、小人は土を懐う。君子は刑を懐い、小人は恵を懐う。(里仁)

意味:先生は言った。「キミコさんは徳さんを懐かしみ、こびとさんは土のことを考えてばかりであった。キミコさんは刑事時代を懐かしみ、こびとさんはメグミのことを思い出していた」
解説:ここで唐突に現れる謎の人物、徳さん。本文の内容と名前から推察するに、キミコさんが刑事時代の先輩で、「スッポンの徳」と呼ばれるいぶし銀の魅力を持った老刑事と思われます。
キミコさんは刑事を辞めたあと、敬愛する徳さんのことを時折思い出して、懐かしんでいたのでしょう。孔子先生は、そんなキミコさんをどんな目で見つめていたのでしょうか。
一方のこびとさんは、おそらく実家が農家だったのでしょう。都会生活に疲れたこびとさんは、土の匂いを思い出し、また多分故郷にいるメグミという女性(幼なじみなのでしょう)のことを思い出して、しばし感慨にふけるのです。

子曰く、君子は坦かにして蕩蕩、小人は長えに戚戚。(述而)

意味:先生は言った。「キミコさんのびのーび、こびとさんちびちーび」
解説:こ、孔子先生!大丈夫ですか?

子曰く、君子は争う所なし。必ずや射か。揖譲して升り、下って飲む。その争いや君子。(為政)

意味:先生は言った。「キミコは争いに場所を選ばず、必ずを持ち出してきた。相手に先を譲っておいて(生き残り)、戻ってきて酒を飲んでいた。その闘争こそがキミコの本質だった」
解説:揖譲とは相手に礼をして譲ること。つまり先に銃を抜かせて、それでも勝っていたのですから、恐るべき早撃ちの名手だったことになります。恐らく警官時代のエピソードでしょう。というか、なんでそんなワイルドな女性のことばかり話すんですか、孔子先生。

子曰く、君子は器ならず。(為政)

意味:先生は言った。「キミコってのは、器じゃねえんだよ」
解説:これは酒に酔った孔子先生がふと漏らした一言、という感じですね。
「器じゃない」というのは、組織のリーダーとか、そういう役職に立つ器量がない、ということなんでしょうか。先生はワイルドな性格のキミコさんに対して複雑な感情を抱いていたようです。
でも、確かに銃をすぐ持ち出す人は器じゃないかも知れません。

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