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Fool & Pool
#01 act.1 11.28

#01 act.1  2001/11/28

こんにちは、原代です。
さて、このコラム、Fool&Poolでは毎回私自身を刺激し、モチベーションを向上させるモノについて語っていきたいと思います。
何となくためになりそうなモノから、ぜんぜん役に立たない事まで、私の足を前へ前へと進めている者達の魅力をあなたにお裾分けいたします。
何?いらない?・・・そんな事言わずに。(笑)

15年くらい前に「ハスラー2」が巻き起こしたブーム以来、再びちまたでも盛り上がりを見せているビリヤード。
最近TV等で取り上げられる場面も増えてきて、自然と目に触れる機会も多くなっているんじゃないでしょうか。
さ〜て、そこで御用とお急ぎの方も、もちろんそうでない方もとりあえずお立ち会い。
ビリヤードという単語に何かしらインスピレーションを感じてしまったというあなた。
もともとちょっとだけやった事があって、「そう言えば何か面白かったな」なんて漠然と思っているあなた。今回のコラムでは、私もまた魅了されているこのビリヤードについて語ってみたいと思います。
え?ゲームの話題じゃないって?
いやいや、TRPGとはちょっと違うけれど、ビリヤードもまた想像力を駆使するゲームなのです。球の走るラインを正確にイメージし、“こうあってほしい”という意志を表現するゲーム。
想像力、手から伝わる感覚、曖昧で確たる形のない自分にしか解らないもの、そういう感触を感じる事の出来るゲーム。それがビリヤード。
心地よい衝突音と共に、カラフルなボールがテーブル上を走り、自分のイメージ通りポケットに吸い込まれていく爽快感は、ビリヤードならではの醍醐味ですが、メンタルな部分での制御、初めはモヤモヤと何となく頼りない感覚を研ぎ澄まし、しっかりと実感できる形に仕上げていく事もまた、ビリヤードのおもしろさなのです。
ビリヤードは別名、「ボールを使ってプレイするチェス」とも呼ばれます。
それは、ビリヤードが多くの情報と高い戦略性を駆使して行うゲームだからです。
ナインボールに代表されるポケットビリヤードと言えば、大抵の人は球をポケットするゲームだ、と思うでしょう。確かに、最初のうちは目の前の球を一生懸命ポケットに入れようとします。ですが、それだけでは、勝てない事に気づく。なぜなら、ビリヤードプレイヤーが高い勝率を得るためには、“球を入れ続ける”事が大事だからです。ナインボールは9番の球を入れた方が勝つゲームなので、8番まで全部自分がポケットしても、相手に9番を入れられてしまえば負けてしまう。球を入れるという事が時には相手に有利に働いてしまうのです。残りの球を減らしてしまうのですから。
だから、理想としては、相手に一度も突かせずに全て自分で突ききる事が必要となってくるのです。
逆に言えば、初心者でも、上級者に常に勝つチャンスのあるゲームと言えますね。
入れ続けるためには、大別して二つの技術が必要になってきます。
“入れ”と“出し”。
“入れ”とは、狙った球(的球)をポケットに入れる力。シュート力とも言います。
そして、“出し”とは的球に手球(白い球)を当てた後に、次の的球を狙いやすい位置に手球を動かす力。ネクストとも言います。
超上級者は、テーブル上に散った球を見て、全て取りきるためのラインがすぐ頭に浮かぶそうです。後はそのイメージに沿って球を突くだけ・・・と、言うのは簡単ですが、これがなかなか難しい。
人間はその日のコンディション、感情と様々な要素に左右されます。
これらを理解、自制し、キュー(球を突く棒)先に神経を集中し、繊細なタッチで球を落としていく。
ビリヤードプレイヤーとしての究極は、球を入れるマシーンになる事ですが、人間にはマニュアルもなければ、微調整をするための機器もありません。しかも丸い球を直径1センチそこそこの棒の先でついて思い通り動かそうというのですから、技術的な部分をとればとても難しいゲームです。
対戦、という形をとりながらも、その闘いの殆どは個人の内面、メンタルな部分に多くウェイトを置く事になります。
何よりも自分自身が思い通りにならない事を多くの人は知る事になるでしょう。
ですが、それだけに、一つ一つ、技術を身につけていく達成感は何ものにも代え難いものがあります。
過去に一度でもスポーツをやった事のある人は、その時感じた高ぶる、という感覚を再び感じる事が出来るでしょう。
研ぎ澄ました集中力によって自分にしか見えない小さなポイントを捉え、身につけた技術と体に覚え込ませた感覚を総動員する。
そして、球が思い通りのラインを走りポケットに吸い込まれていった時の喜び。自分が確かに成長していると感じられた時の満足感。
ビリヤードに体格、性別は関係ありませんから、やればやるほど、こういった様々な物をビリヤードは与えてくれます。
日常に変化がほしいな、と思った時。
何かおもしろい事はないかな、と思った時。
百聞は一見にしかず、ためしに一度ビリヤード場に足を運んでみてください。
友達同士でワイワイと楽しく球を突くもよし、練習し、高度な戦略と技術でその奥深さを味わうもよし、気まぐれなカラーボールに宿った運命の女神は、きっとあなたに素敵な夢をみせてくれるはず。
仕事に疲れたあなた、試しに小一時間程、集中して球を突いてごらんなさい。ホラ、いやな事を忘れて気持ちがクリアになったでしょう?
自分の中に、こんなにも熱く闘争心をかきたてるものがあるのだと気づかせてくれる。
平凡な日常にちょっとだけ、刺激的なスパイスをあなたも加えてみませんか。

ビリヤードに限らず、あなたの感性を刺激し、新しい発見へと誘うものは日常のいたるところにあります。
誰もが新しい世界へと続く扉の鍵を手にしているのです。
ただ、扉がすぐそばにあると気づかないだけ。
想像の力は無限。
想像の翼には無限の可能性が秘められている。
それは、限られた空だけを飛ぶためにあるんじゃない。
翼はひたすら高く、そしてどこまでも遠く空を飛ぶ事ができるのです。
ほんのちょっと、視点を変えてみよう。ホラ、あなたの前に新しい空が広がっているでしょう?
さあ、勇気を出して、自分の可能性を閉じてしまわないで、力強く羽ばたいてみよう。
遙かな空へ・・・・・・

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