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#02 “家を買うということ(思い立ち篇)”

#02 “平成14年度版:家を買うということ(思い立ち篇)”  2002/1/18

今年の干支は、午だそうだ。そうそう、馬。
何とも急ぎすぎと言うか、なんと言うか、干支に合わせてボクは先日住宅を購入した。厩舎じゃないよ。(笑)
いや、全然探していなかったという訳ではない。実は、半年以上探してはいたのだ。それを考えればまぁ、あまり外していない期間と言えなくも無い。
高い買い物に見合って、生活を大きく変えることになった環境としては、今のところ申し分ない。夜、気ままに仕事をする為の専用の部屋も出来たとあっては、これはまた天国と言うものだ。家内を起してしまう事も無い。

さて、実に唐突だが、住宅を購入するにあたって何が面倒がはっきりここで言っておきたいことがある。
桁違いの身分不相応な買い物は住宅購入に関しては、はっきり言って世の中が許さない構造になっている。特に、国や民間の優良銀行を相手にするのであれば、それだけは確実だ。安心していい。バブルは弾けている。今は不景気で終わりの見えないデフレスパイラルに陥っているので、金を持っている層やトランザクション層に住む住人がそれを許していない。だからボクは敢えて勧める。家賃を払うなら、今の金利優遇といった是正措置が取られている間に、住宅購入に関して一度は検討してみたほうがいい。賃貸で一生を済ませるなら、それなりの年金型貯蓄や貯蓄型保険、その他銀行への預け入れなど、ライフプランを詳細に組み立てる必要がある。これにはそれ相応の覚悟が必要なのだといっておく。ちなみに住宅やマンションの購入よりも、向こう数十年を単位とすると確かに賃貸生活では2/3位で済む。しかしそれ相応の努力が必要なのだが、その議論はここでは割愛する。

今回から不定期ではあるが、従来のWebにおけるユーザービリティやコンテンツアセットマネージメントに関してのコラムと平行し、複数回に渡って今年の3月末位までを目処に確定申告が終わるまでの間「住宅購入に関しての実体験と様々なノウハウ」を伝えたいと思う。一戸建てとマンションの購入に関しては、購入において必要とされる知識は、不動産そのものの価値(地域的な物件担保としての価値)に対しての認知と交渉以外、実はそう大きな大差は無い。購入における対象となる我等消費者にあたっては、物件購入時における現物調査(設計依頼/リフォームを除く)が異なるだけで、買い物(消費)における属性としては根幹は同じだ。だからこそ、体験したものは伝えられるものを伝えたいと思う。 まぁ、たかだかWebのコラムを通して、読み手のライフプランナーになれるわけではないが、きっと何処かで役立つことがあると思う。
今の・・・最近のボクは、そんな風に感じている。

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住宅を購入するということに関して最初に考えなければならないのは、終わりの無い予算組みを考える前に、まず「自分がどんなところに住みたいのか?」と言うことを考えることだ。
現在の税制を鑑みる限り、住宅の購入にあたって我等一般市民は「借金をして住宅を購入する」方法が控除も優遇されている。何しろ、高い額の買い物だ。数千万単位の1%ともなれば、どのくらいの金額になるか知れるというものだろう。サラリーマンの逃れ得ぬ宿命だ。(笑)
皆はこの住宅金融市場の低金利化による0%待遇は、一体どのように受け止めているのだろうか?
はっきり言おう。この金利程度でも銀行ローンは実に儲かるように、巧く出来ている。義理人情程度で借り換えなどを渋るのは、実に損と言うものだ。ちゃんと一度は、自分で検討することをお勧めする。特に、地域に根付いた工務店と繋がりの深い不動産業界に、損と言う文字は無い。建てたい家も、しっかりと自分でイメージし、現物がそれと異なる際には必ず交渉すること。今は住宅は構造に関る部分に関しては、10年保証が義務付けられている。もし、10年以内におかしな個所が出てくれば、立て直すこともありえるのだ。そんなことはこっちも面倒だが、それ以上に自分達が費用立てて動かなければならない工務店(この場合売主も含める)は、10年間何も起こらないとはいえない物事に関しては、実に慎重に対応してくる。ここでも交渉が重要なのだ。

よく住宅を購入する際に、間取りからイメージするケースがある。諸説あるが、その考え方は間違ってはいない。
ただ、間取りだけのイメージでは「最終的な注文としては足りない」だけなのだ。
例えば、4LDKでも1階建てと2階建てと3階建てがある。また、畳のサイズには実は違いがあることもご存知だろうか? 良くあるオトリ広告における間仕切りのサイズや平米数の表記にはうまい落とし穴がある。
日本では、地域によって畳の大きさに違いがあるので要注意なのだが・・・例えば、

1:京間(本間) 6尺3寸×3尺1寸5分 京都を中心に関西地方で普及している
191cm×95.5cm
2:中京間    6尺×3尺 名古屋を中心に中京地方で普及している
182cm×91cm
3:江戸間    5尺8寸×2尺9寸 東京を中心に関東地方で普及している
176cm×88cm
4:団地サイズ  5尺6寸×2尺8寸 団地など関東近縁における新築住宅で普及している
170cm×85cm
[ 単位の表記:1寸=3.03cm、1尺=30.3cm、1寸×10=1尺 ]

どうだろうか。実にサイズが違う。よく最近の賃貸住宅で絨毯を引くと、微妙にサイズが小さかったり、逆に大きかったりすることが無かっただろうか。実は殆どの場合、上記のようにどのサイズを基準に住宅が作られたのかで異なるわけだ。だからこそ、住宅を借りたり買う際には平米単位でのサイズ把握をお勧めする。
だが、どうして部屋の選択の基準となる畳のサイズに違いが出てきてしまったのだろうか。
諸説あるが、簡単に纏めると・・・

 1:住宅建築における、長さの単位の解釈に違いを持たせてた
 2:採寸の際に、壁の厚さ、柱の出っ張りによる基準誤差

となる。
僕の実家は建築業界に属する業務なのだが、この「単位」に関しての常識論は今だ理解に苦しむ。
まず長さの単位が違う場合について答えると、建物の設計をする際に基礎寸法のモジュールを、従来からある基礎寸法の間尺単位181.8cm(1間=6尺)を180cmとした為、「長さ×長さ=面積」の小学校でも習うあの公式から導き出される答えの値に大きな違いが出てくることになってしまった。つまり、面積が全然異なるのだ。
建築業界の常識としては、高度経済成長時代における住宅の大量建設ラッシュに対応する為、規格をメートル法で統一し、「早く」「安く」「大量」に畳を生産するために規格統一したことが原因と言われている。
また、高度経済成長期に大量に建築され始めたマンションにもその原因の一端が在る。
マンションの壁はコンクリートで作られているから、その構造上、柱の代わりとなる壁構造とは別に別途柱や配管用の梁が存在する。その為、本来はこれまでの木造住宅で使われていた畳をマンションに併用した場合、採寸の基準として壁の芯(壁の厚みの中心)が採用されるから、スラブ(コンクリート)の中心線から壁の内側分までの厚みが生まれてくる。つまり、サンドイッチの片割れのような存在があるので、その分部屋そのものの面積が小さくなってしまい、これまでの畳のサイズではきちんと納まらなくなってしまったのだ。
更に断熱構造を打ち出す為、断熱材として空間を作り、その中にグラスファイバー等を詰めてプラスターボード(石膏板)で抑えてサンドする為、更に壁が内側に後退する。言うなれば、どんどん内側にサイズを縮めているわけだ。

いかんいかん、つい性格柄もの作りに議論が傾きがちだ。(^-^; ちょっと話を元に戻そう。
より快適な住まいで暮らしたいという欲求から住宅を購入するケースが殆どだと思うが、それを理論的に紐解いてみると一体どういう事になるのだろうか?
欧米に比べて、日本の住宅事情は実にお粗末だ。“うさぎ小屋”とは昔からよく言われる言葉だが、一軒家にせよ賃貸住宅にせよ兎に角狭いものが多く、広い物件ともなれば老朽化し、最悪の場合は睡眠も取れるような長時間通勤が必須条件になってくる。で、探しまくってようやく見つけた広くてきれいで駅に近接する物件は、家賃がバカ高い。東京なんて、以上に高く、福岡の友人は状況なんてしないと豪語するほどだ。極一般的な理論だが、一般に「賃貸」物件は“安く造って、高く貸す”必要性が売主にはある為、構造もお粗末なことが多い。(元業界人のボクが言うのは何だが) 隣の部屋の音は響くし、引越しなどで部屋を出る時には契約に基づいた現状回復義務があるから、自由に部屋の模様替えや改装が出来ない。常に掃除していないと敷金が戻ってこない可能性も高いから、結構生活に気も使う。そう考えると、一軒や等の物件の購入はとても自由に溢れている。分譲住宅やマンションでも、ある程度なら管理規約の範疇でリフォームは自由だし、構造も最近の建築基準法に基づき、質が上がっている。
では、日本の住宅購入者における一般的な意識としてはどうだろう? 老後や子供の事を考えて住まいを捜し求めるケースもある。現在、65歳以上の高齢者の比率が増加した事で、4人に1人は高齢者という時代になった。年金制度改革により支給開始年齢も繰り上げられ、老齢厚生年金額の5%カット(平成11年年金制度改革)など、今現在の高齢者はもとより、これから老いていくボク達が国から支給される年金だけで生活していける時代ではなくなりつつある時代になった。
冒頭でも取り上げたが、自助努力で個人年金や財テクでの「貯蓄」はしても、賃貸生活では毎月必ず家賃を払い続けなければならず、一般的には物価に連動して家賃も少しづつ上がってゆく。
こう言った点を踏まえて、これからの人生を考慮して住宅を買い求めるケースもある。また、物件を所有することによる財産の所持や、社会的なステイタスを得る事も出来る。
日本では古来から住宅を持つことで、「一国一城の主」と呼ぶことがある。また、ローンを組む際も保証人が不動産を所有していると(たとえ、住宅ローンが残っていても)それだけで、だいぶ審査が甘くなるケースもある。
これは、社会が各個人を細かく詳細まで把握することは難しい為、運転免許証や保険証のようなもので身分を特定し、社会に対してどのような対応を取ってきているのかなどを基準に分類する傾向が残っているからだ。
住宅だけに関して言えば、嫌な言い方だが日本人が未だに「不動産」に資産価値の基準を見ている証ともいえる。財産を所持する事で、社会的ステイタスといった地位や身分の高さを求める人間の根源的欲求が具現化するからだと言い換えることも出来る。

さて、「平成14年度版:家を買うということ(思い立ち篇)」という事で表題を切り出した訳だが、ふむ、ボクの場合はどうだったのだろうか?
結構長い文章をぶってきたが、実はボクの思い立ちは実に簡単だ。

家内と一緒に気ままに手を加えられる住宅に住みたい
夜中に仕事をしても文句の無い部屋が欲しい
家内1部屋+ボクの仕事部屋+親の住む部屋+子供の部屋
最低でも4LDKとして使える大型3LDKにする必要がある
車がある(ハイルーフサイズの1BOX)
呆け防止も兼ねて庭弄りをしたい
中古物件はボクがリフォーム施工できる範囲で無ければならない
防犯を含め、住宅の構造がしっかりしているものを購入したい
現在は共働きだが、貯蓄をしながら返済をしてゆきたい
物件を購入しても、ローンで縛られすぎた暮らしはしたくない
税制面も含め、坪単価の高い固定資産税等の対策が困難な地域には住みたくない
現在の会社に通える範囲で無ければならない


基本はこんな所だが、ここから第二段階目へ。僕等夫婦は希望圏に、再突入した。(笑)


マンション物件は、流行の高級大規模分譲マンションだと共営費と修繕積み立て等の
管理費の問題があり、売却時の資産価値も目減りしやすいので、出来れば避けたい
中古住宅のリフォームは、まだまだ価格面で割高な為、新築にしたい
※現在でも質良く割安にする事は可能だが、施工を依頼する側が正確な建築の知識を知っている必要がある。
  その為、敷居も高く、自ら管理しなければならない為、サラリーマンには非常に取り組みが難しい。
  このテーマも後日取り上げる。
東西南北にはっきりと根ざした家屋と土地が欲しい
南向きの部屋と庭が欲しい
結露対策が自衛できる家屋にしたい
水周りの設備がしっかりとしている物件がいい
日当たりの良い物件がいい
老後の物件売買を考慮し、固定資産税制の緩和を受ける
為にも90平米、出来れば100平米以上の土地が欲しい
30坪を下る物件は、3階建てになるケースが多いので、出来れば2階建てがいい
※3階建ての物件を購入する際における問題点は、後日のテーマとする
工業地域、準工業地域は避けたい
都市計画のはっきりとしている土地がいい
私道(43条但し書き付きも含める)に面した物件や、敷地延長による物件も出来れば回避したい
自ら設計図面をオークションを経て用意しつつ工務店/建築士と共に施工する方法は、
現在の勤怠状況では難しいので、出来れば土地所有権つき家屋の物件をアフター
サービスの信頼できる業者から手に入れたい
子供達の通う保育園や小学校、中学校などへ比較的通いやすい土地が良い
僕の両親が住む地域から然程離れておらず、有事の際に駆けつけられる場所がよい


と、こんなところだ。
この希望項目をざっと取り纏めると以下の様になる。

「両親の住む地域から然程離れていない、都市計画が明確な30坪以上の準防火地域に建てられた日当たりの良い庭と駐車スペース付きの4LDK以上2階立ての新築10年保証(高性能)住宅。ただし、共働きの為会社に通える路線範囲で、価格帯も返済可能な範囲で」

という事になる。
この条件、多分住宅購入を考える人、みんな欲しがるよね。
不動産屋は、「そんな条件だと物件が無い。どれか希望項目を抜粋して欲しい。定期借地物件でもいいか?」と要求してくると思う。
でも負けないで、まずは自分の希望内容を明確にしてから業者と向き合って欲しい。
まず最初に胸を張ろう。数百万円だろうが、数千万円だろうが現在の世情から考えれば、実に大きな買い物をするのだ。ともすれば一生に一度の買い物だ。だからこそ、胸を張って自分の希望を明確にしてぶつけて欲しい。
前述の条件も、省略しているから誰にでも言える文言になっているが、地域を特定し、物件の状態を特定し、価格帯を特定するだけで、どれ一つ同じものの無い文言になるのだ。
業者の上手なトークに負けてはいけない。ボク等もパートナーと手を取り合って、戦うのだ。
それをクリアすれば、必ず満足のいく物件が手に入る。

少なくとも、ボクはそうやって、今は新しい屋根の下で暮らしている。
家を買うということは、単に物件を購入してローンを考える前に、一緒に住むパートナーとのその後の行き方にも関っているのだ。
それを忘れてはいけない。

 さて、今回は「平成14年度版:家を買うということ(思い立ち篇)」として考えてみた。
 次回は、「平成14年度版:家を買うということ(放浪篇)」と題して、物件を探し始めて業者に出会うまでの前半戦にスポットを当ててみたいと思う。

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