『特別に醜くて、性惡で、不潔な奴が一つゐる!
こ奴、大してあばれもしない、大きな叫も立てないが、
そのくせ平氣で地球をほろぼし、
欠伸しながら世界を鵜呑みにする位平氣の平左。
こ奴、名は「倦怠」!』
他人の言葉を借りないと説得力のある文句もかませないくらいだれきっている。なんでそうなっているかといえば、いつのまにやら行き先を見失っていたらしいからだ。どっかでずっこけて、その拍子に自分が何処に向って進んでいるのか忘れちまった。適当に当たりをつけて進んでもいいのだが、今度はエンジンのかかりが悪い。休ませすぎたのか、はたまた整備が悪かったのか。ともかくそんな有り様で途方に暮れている。
dice-jpリニューアルを機に、diceメンバーが交代で毎週Headlineを書いている。1週目という事もあり、意気込みの感じられるコラムが続いている。そういう中で自分に出番が回って来たのだが、いざ筆をとると何を書いていいのかわからなくなっていた。いや“何を”という以前に“誰に”向って書けばいいのか、それがわからない。
致し方ないので、結局自分のために書く事にした。まぁ、いつだって自分のためではあるのだが、形にしないと自分のことも整理の効かない人間なので、こうしているうちに目的の1つもわかるようになるかもしれない。だからつまり、今度のこれは独り言ということだ。誰のためでもない、取り止めのない独り言。
どっちを向いているのかも何処を向いているのかもわかっていない。周囲はみんな丘に囲まれていて、その何処かを越えれば海に出られるかもしれない。でも別に海である必要はないし、そこに実際に海なんかなくてもかまわないのだ。この場所は落ちつかなくて、とにかく離れてしまいたい。……そう思えているうちは、きっと倦怠に取りこまれきってしまわないでいられるだろう。
付記
教訓、〆切があるってのはいい事だ。
出典 ボードレール「悪の華」(堀口大学訳)
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